心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「病院、連れてってもらえよ」


「……うん」


なんとなく、返事に間があいてしまったような気がした。


「愛花、ほんとにお父さんいる?」


「……うん」


「俺、今から行こうか?」


「バカだな先生。ただの風邪で心配しすぎ」


寝るから切るね、そう言って電話を切った。


私は、浅い眠りと深い眠りを繰り返していた。


体が重くて重くて、暑いのか寒いのかもわかんない。


目を覚ますと、部屋の中は真っ暗だった。


ボーっとそばに置いてあるケータイで時間を確かめる。


「もう10時か」


そして、もういちど眠ろうとしたとき、ケータイが鳴った。


「もしもし?」