心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

【愛花サイド】


先生を見送って、私は家に入った。


着替えをして、ベッドにもぐりこむ。


お父さんが帰ってくるって言ったけど、それはウソ。


多分、今日は1時間前くらいに出て行ったばかりだと思う。


風邪くらいで、先生に迷惑をかけたくなかった。


ひとりで大丈夫だから。


「もしもし、先生?」


「ごめん、寝てた?」


「ウトウトしてた」


家に帰って来て3時間くらいしたとき、先生から電話があった。


「熱、測った?」


「8度だった」


「ったく、上がってんじゃん」


電話の向こうから、先生のため息が聞こえた。