もっと甘えろよ。


これでも一応、お前の彼氏のつもりだからさ、俺。


だから。ひとりでガマンしなくていいんだ。


「家にお父さんいるのか?」


「うん。もうすぐ帰ってくる」


「ほんとに?」


「こんなことで、ウソついてどうすんの?」


放課後、俺は愛花を家まで送った。


「わかった。仕事行く前に、電話するから」


「うん」


「ちゃんと寝てろよ」


「子供じゃないんだから」


赤い顔をして、俺に笑う愛花。


「お酒……」


「飲み過ぎないよ」


「うん。おやすみ、先生」


「ああ。おやすみ」


何となく、愛花をひとりにするのが心配だったけど、もうすぐ父親が帰ってくるという言葉を信じて車を発進させた。