心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「あの写真の人は、俺の彼女だった人」


「だった?」


「2年前に、病気で亡くなった」


「そう……なの」


「明里って名前でね、すっごく明るい子だった。今働いてる店で知り合った」


「うん」


「でも、病気になってから、ちょっと前の愛花みたいに悲しい目をするようになった」


「…………」


「でも俺は、気付いてあげられなかった」


「どうして?」


愛花はうつむいてた顔を上げて、俺を見た。


「いつも、一瞬でいつもの笑顔に戻ってたから。必死に強がってたんだ、明里は」


「強がってた……」


「最後は、俺が見舞いに行くのもイヤがった」


「えっ?」