電話の相手は、知らない男の人だった。


「もしもし? 愛花ちゃんかな?」


一瞬、恐怖を感じた。でも次の瞬間。


「俺、裕介の友達の陸ってゆーんだけど」


「へっ?」


「愛花ちゃんが店に来たとき、裕介の隣にいたんだけど覚えてる?」


「なんと……なく」


あのときは熱があったから、あんまり覚えていない。


でも、正体がわかったことで恐怖はなくなった。


「これ、陸さんのケータイですか?」


「うん、そう」


「なんで私の番号……」


「裕介のケータイから勝手に」


「そうですか。それで、何か用ですか?」


「今仕事中だから、手短に話すね」


「はい」