心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

もう2年も前の話だ。


でも、いまだに俺は明里を忘れられないでいる。


もしかして、ここで働いていたら、明里にまた会えるんじゃないか。


明里はもういないのに、そんな期待をしている俺がいる。


だから今も、あの仕事を辞められないでいるんだ。


愛花を見たとき、少しだけ明里を思い出した。


悲しい目をする理由は違っても。


明里の代わりじゃないけど、俺に助けを求めてきたら絶対助けようって、そう思った。


だから愛花が助けてって俺に言ったとき、明里の分もこの子を楽にしてあげたいって思った。


最初は明里の代わりだったかも知れない。


明里にしてあげられなかったことを愛花にしてあげようって。


でも、あの夜愛花を抱きしめたとき、俺にとって、愛花は明里の代わりではなくなった。


本気で、愛花を守ってやろうと思った。


大切にしたいと思ったんだ。