心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

やがて、明里に残された治療法は、骨髄移植だけになった。


ある日、いつものように病院に行くと、明里の母親から、「明里がもう裕介くんには来てほしくない」って言っているって言われた。


冗談だろ?って思った。なんで俺を拒否するかわからなかったんだ。


それからも毎日病院に行ったけど、結局、明里が亡くなるまで会わせてもらうことはなかった。


そして、明里の葬式の日。俺は1枚の封筒を渡された。


表には、『裕介へ。』と明里の文字。


中の便せんには、きれいな文字が並んでいた。ごめんねって。お見舞いせっかく来てくれたのにって……。


『弱ってる姿は見せたくなかった。薬の副作用でボロボロになった体を、裕介に見てほしくなかった。ほんとは、苦しかった。もう治療なんてやめたいって思った。私は強い。そう思って、頑張ってきた。でもほんとは、ものすごく甘えたかったし、助けてって言いたかった。裕介のこと、今でも好きだよ。大好きだから……』


「明里のバカ」


思わず俺は、そうつぶやいていた。


甘えたいなら、思いっきり甘えればよかったのに。


助けてって言いたいなら、俺にその気持ちを言ってくれればよかったのに。


無理して、強がらなくてよかったのに……。     


どうして俺には言ってくれなかったんだ。


そんなに俺は頼りなかったか? どうしてなんだ、明里……。