心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

だから俺も、大丈夫だろって思ってたんだ。


検査の結果は、白血病だった。


病名は告知してほしいというのが明里の希望だったから、医者は明里に病名を告げた。


でも、病名の告知後ですら、明里は「治らない病気じゃないんだからそんな顔しないでよ」って逆に俺を励ましていたんだ。


それから治療が始まった。俺は毎日病院に行ったけど、その度に明里に、「お酒飲み過ぎちゃダメだよ」って逆に心配された。


つらい治療と薬の副作用で、日に日に明里の体は細くなった。


でも、1回も俺につらいなんて言わなかった。


たまに、さびしそうに笑ったり、悲しそうな目をするだけ。


ただ、そんな表情を見せるのも一瞬で。


次に俺が明里の顔を見たときには、もういつもの笑顔が戻っているんだ。


だから、俺は気付かなかった。


明里のSOSに。ほんとは、ものすごくつらかったはずなのに。


もうイヤだって、何回も思ったはずなのに。


言葉にも態度にもそれを表さなかったから、俺は感じとってやれなかった。