親のケンカのときとは違う。


でも、同じ。


ぎゅってしめつけられる感じ。


私は先生のことが、好き? 


自分の心に聞いてみる。


――うん、好きだ。


「先生」


「ん?」


私の手を引いて少し前を歩いていた先生が、振り返った。


「好き」


思わず口からこぼれた言葉。


でも、先生は何も言わずにただ私の頭をなでただけだった。


好きって言ってくれないの?


何も、答えてくれないの? ……それは、彼女がいるから?