私は机に肘をつきながら聞いた。


「愛花と心葉には、ひどいことしたなって思ってるよ」


「うん」


「でもな、今まであの工場でやってきたんだ。そんなにすぐには、あきらめられない」


「うん」


「お母さんにも、わかってもらえると思ったんだけどな。無理だった」


「そっか」


「愛花、お父さんもう少しあの工場で頑張っていいか?」


「うん。いいよ」


「ありがとな。愛花もお金のことは気にしなくていいから、自分の進路ちゃんと考えろよ」


「わかってる」


「ならいい」


そう言って、お父さんはお味噌汁の入ったお椀を持ってきた。


「愛花、ご飯よそって」


「うん」