心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

結局、こんな形になちゃったけど、今まで頑張ってきた。


ううん、今だって頑張っているお父さんをひとりにできない。


だから、私はお父さんのところにいることを決めた。


「先生」


「ん?」


「家が、こんなに広かったなんて知らなかった」


お母さんと心葉が出て行った家。


お父さんが工場に行ってるとき、ひとりで家の中を歩いてみた。


シーンと静まり返った家には、誰もいない。


この世で私ひとり。


そんな気分になった。


「ベッドもね、広いの。今まで隣に心葉がいたから」


先生は、黙って私の話を聞いてくれていた。


「心葉、泣いてた。どうして、お姉ちゃんは一緒に来ないのって」


昼間、そう言って心葉は涙を流し、私の洋服にしがみついてきた。