【愛花サイド】


「先生?」


「ああ」


今日もまた先生に電話する。夜の電話。


誕生日のあの日から、私たちは毎日電話をするようになっていた。


「今日ね、お母さんと心葉出てった」


「そっか」


夏休みも終わりに近づいた日のことだった。


結局、私はお父さんと一緒に暮らすことにした。


理由は、お母さんひとりじゃ、私と心葉の面倒を見られないと思って。


これから心葉が成長すると、もっとお金がかかるようになる。


けど、心葉ひとりならお母さんの負担は小さくてすむだろう。


それに、私はお父さんのことがキライじゃない。


どっちかっていうと、好きな方。


私たちのために一生懸命働いてきたお父さん。