先生がポケットに手を突っ込んで私に近づいて来た。


「俺をからかうのが好きなんだろ?」


「そう」


「妹思いで」


「そうなのかな?」


「他には?」


「他?」


「お前のこと教えて? いや、愛花のこと」


「先生」


「何?」


「人のことを知るには、まず自分のことだよ?」


「まったく。あー言えばこー言う」


先生は、自分の髪の毛をくしゃくしゃってした。


「何が知りたい?」


先生はうしろから私を抱きしめた。