心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

心葉が私の部屋を出て行く。


それからすぐ。私の手がケータイに伸びた。


自分からは、初めてかけるその番号。


何回かプルルルって音がした後、「もしもし?」って、佐野先生の声がした。


「先生?」


「石川? 珍しいな、どうした?」


「先生、今日仕事?」


「そうだけど」


「じゃあ、お酒飲まないでね」


「それじゃあ、仕事にならんだろ」


「今日、誕生日なの。だから、迎えに来て」


「石川?」


「お願い」


「だったら、今行くけど?」


「夜がいい。じゃないと、心葉がひとりになっちゃうでしょ?」