【愛花サイド】


先生から教えてもらったケータイ番号。


でも、私からは1回もかけていない。


佐野先生からは、たまにかかってくる。


勉強してるか?とか、今日も暑いなとか、ちゃんと飯食ってるか?とか。


でも、それだけ。


今日、心葉はお母さんの実家に泊まりに行っている。


私が部屋でパラパラと教科書をめくっていると、「愛花、来なさい」とお母さんに呼ばれた。


イヤな予感がする。


リビングに行くと、そこにはお父さんとお母さんの姿があった。


「座りなさい」


お父さんにそう言われて、ソファに腰をおろす。


「愛花に言わないといけないことがある」


「何?」


「お父さんたち、別れることにした」