「俺は、見ていいの?」


「先生なら特別許してあげる」


「ありがと」


「どういたしまして」


石川の顔が、苦痛にゆがむ。


「もう、ダメかも知れないの」


「石川……」


「昨日も、離婚って」


石川は腕で目を覆った。


「どうして?」


ぐっと、泣くのをガマンしている声だった。


「どうして、好きで結婚したのに、別れなくちゃいけないの?」


そっと石川の頭に手を置き、ゆっくりとなでる。 


「先生、教えて」


「どこかで、歯車が狂ったんだよ」