『……ごめん』

2人は放課後の静けさに包まれた教室の中。

『へ?』

突然聖人に謝られた私は頭の上にハテナがいっぱいだった。

『だから……お前とは付き合えない』

………?
聖人……何言ってるんだろう?

『え?冗談やめてよ』

私は特に気にせず笑い飛ばす。
でもあくまでも聖人は真剣な表情で……
『冗談じゃねぇよ。お前とは付き合えないから』

そんな冷静に冗談言わないでよ……
『やめてよ。嘘つくの下手すぎだよ!』
私は聖人からそんな言葉が出るはずない。と心に言い聞かせて真っ直ぐに聖人を見据えた。

『っ…ホントごめん』
……へ?
ねぇ、嘘だよね?
ドッキリか何か?
でも……どうしてそんな悲しそうな顔をするの?

いつもなら笑うところなのになぜか怒りが込み上げてきた。
『ねぇ、約束は?』

私は冷静を装いつつ聖人にたずねた。
『…………』

でも…聖人は何も答えようとしない。
『他に……好きな人できたの?』

『っ違う!』
咄嗟に聖人から返事が返ってきた。
『じゃあ何で……!あたしの事嫌いになったの?』

恐る恐る聞いてみた。
聖人から出る答えは1つだと信じて……
『………』

でも聖人は何も答えてはくれない。
『ねぇ!』
私が聖人の肩に触れた瞬間……
『マジで…ごめんな』

聖人は一言呟いてドアに向かって足を踏み出す。

『……中谷!』
私は聖人の名前を叫んだ。

でも決して聖人が振り向くことはなかった。

私は今日、失恋したんだ……。