トントントン

「――――う゛ー」


トントントン


「~~~~っあ゛あ゛」


ガバッと勢いよく布団から起き上がり不機嫌そうに真っ正面を見る。

だが、何処からか美味しそうな良い匂いが漂ってきて不機嫌な顔から徐々に怪訝な顔になった。


―――誰だ? 賢磨の奴か?


「May I be excused(失礼します)」


すっとそう言って襖を開けて入ってきたのは銀髪頭で丈の短い着物を身に纏っている異人。

「GoodMorning
あっ えーと、おはようございます
起きられてたんですね 丁度良かった」


異国の言葉で話したと思ったら流暢な日本語で話しかけてきた男。
起きたばかりでまだ動いていない頭を無理矢理動かし、異人の男の事を思い出す。


――――ああ… そうだった
こいつは昨日の、…名を


「奈月ー 稔麿さん起きたか?」

「はい 起きてられましたよ」

ひょっこり奈月の後ろから顔を出す賢磨。
奈月と比べると幾分小さく感じる背の高さでまだ幼さが顔に残っている。



――――そうだ 奈月と言う名だ


ひっそりと思い出している稔麿を余所に奈月と賢磨は親しそうに話をしていた。

歳が近いせいか違和感なく溶け込んでいる。