唯が出て行った後、急いで服を整えて隣の部屋に戻ると、すでにみんな帰ってしまっていた。
「あれ?」
「ああ、里緒ちゃんなら稜と」
ここまで聞くともうわかる。
まるっきり里緒の好みだったもんなー。
さっき座っていたソファーに腰掛けると、飲み直す?と缶ビールを渡された。
ビールを受け取ると、目が合って慌ててそらした。
あんな事があった後に2人なんて気まずすぎる。
「しゅうちゃんはどこ行ったの?」
「あー急に彼女に呼ばれたって」
「ふーん…」
答えながらちまちま飲んでいると、唯にじーっと見つめられる。
「…なに?」
「お前今日泊まってく?」
その言葉にちょっぴり躊躇する。
しゅうちゃんたちがいないんなら、あたしだけいてもなんかなあ、なんて思っていると、いきなり髪を触られる。
この人、行動がわけわかんない。
戸惑うあたしをよそに、俺髪長いの好き、なんて言う。
「着替えとか、ある?」
「んー?スエットとかなら」
「じゃあ、泊まって行く」
一呼吸置いてそう言ったあたしの髪に、唯は優しく口づけた。
そっと、まるで何か壊れ物を扱うように。
