「シャワーありがとう」
「おー」
昨日の制服に着替えてシャワーを出ると、唯が上半身裸のままで冷蔵庫をあさっていた。
「なにやってんの?」
「ああ、なんか食うもんなくてさ。
どっか食いに行く?」
そう聞いた唯に、どっちでもいいよ、と言うと優柔不断だな、と笑った。
「ねえ、筋トレとかしてるの?
腕筋すごい」
そっと触れると、唯はこれぐらい普通だよ、と言った。
クラブに入り浸る人たちはガタイのいい人が多い。
あたしは、そういうB系の人と関係を持つことが多かった。
初体験の相手の影響だと思う。
「何ぼーっとしてんだよ」
おでこをぽんと叩かれて、文句を言ってやろうと顔を上げると、すごく優しい顔で見ていたから恥ずかしくなった。
「あ、どこに行くの?」
「んー…マックとかでいい?」
「うん!」
あたしの返事を聞き、今度はもっといいとこ連れてくな、と頭をクシャクシャに撫でられる。
「ちょ…セット崩れる~」
「ははっ」
楽しそうに笑う唯に、胸が高鳴った。
ねえ、あたしは恋できるのかな。
誰かを愛せるのかな。
深みにはまっちゃだめだよって、あのとき心は確かに言っていた。
