不意に、彼がこちらに顔を向けた


彼は私の目を見つめ、ほんの一度だけ、静かにまばたきをした




「あ、あの……」



泣いてるところを見つめてしまっていたんだ

おどおどと慌てながら、謝ろうとした




「おいで」



初めて聞いた彼の声は

あまりにも優しく
あまりにも甘く

私の耳をくすぐる