初恋は雨





練習も終わり、
家にかえる。


「お母さんただいまー」


リビングに顔をだして
お母さんを見る。

お母さんは何かの
写真を見ていた。



「あっあんな、おっおかえり…はやかったのね。」






…お母さんの様子が
おかしい。


あきらかにあわててる
様子で写真を
隠すお母さん。


「お腹すいた?そこにおにぎり作っておいたからね」

必死に笑って話しかけ
てるのがわかる。



「いいや、今お腹すいてないから」


そういって階段
をあがっていった。


部屋に入り、
ベッドにダイブする。


お母さん、どうした
のかな。



窓を開けると
雨の匂いがした。



ーまだ、雨降ってるんだ。



だけど、嫌じゃなかった。

だって、わかったこと
があるから。



篠田メイ君は…


朝8時5分発のバスに
雨の日だけ
乗っていくということ。


学校に行くのかな。

普段は自転車だけど、
雨の日だけ
バス使ってるとか?



色々考えたけど、
つまり雨の日は
篠田メイ君に会える。




雨なんか大嫌い
だったのに。



明日も降りますように
って考えてる自分に
一人で赤面して
眠りについた。