深呼吸をする聖。それにつられて私もしてしまう。

「……俺さ、捨て子なんだ。」

衝撃の発言に戸惑った。

「優貴は知ってると思うけど、徹がさ、俺が赤ん坊の時に孤児院の前でカゴに入っていたのを発見したんだ。」

「徹って坂木さん?」

「そう。で、俺はそのまま普通に育ったんだ。自分が捨て子なんて知らずに。ずっと徹の後ろついてさ、仲良くしてたんだ。今もな。」

それで、聖と坂木さんが夏休みの時にいたんだ。

1つの謎が解けた。

「でさ、俺が中1の時にさ捨て子っていうのを教えられてさ、でその後すぐにマイコプラズマ肺炎っていう肺炎にかかって入院したんだよ。」

そこで、聖はあの写真を出す。

「そこで出会ったのが、雪菜(ユキナ)船越(フナゴシ) 雪菜なんだ。」

「雪菜ちゃん…。」

聖が、熱を出した時呼んでいたのは''雪菜''ちゃん。

「雪菜とはさ、向かい側のベッドになってさ、雪菜が話しかけてきたのが始まりなんだ。初対面なのに、雪菜は『私のこと雪って呼んでね』って言ってきてさ…。雪菜は、小さい時から心臓が弱いらしくて、入退院を繰り返してたんだ。俺はさ、すぐに治る病気だったから1週間ずっと病院にいたんだ。でも、その1週間だけでどんどん仲良くなって、いつの間にか…」

聞きたくないけど、聞いてしまう。

「いつの間にか、雪菜を好きになっていたんだ。」