流れ星のカケラ【完】


私もいつか恋をするのかな。

でも、初めての恋をするのは随分と先のこと。

聖、あなたに初めて恋をしたんだよ。

『おまたせいたしました。』

お店の人がケーキを持ってくる。
坂木さんにはティラミスで
私には3つのケーキが目の前に並ぶ。


『ごゆっくりどうぞ』

『優貴ちゃん、早速食べようか?』

(いただきます)

まず私が食べたのはお母さんが好きだったフルーツケーキ。

一口食べるとフルーツの甘酸っぱさが口に広がる。

お母さん、こんな感じで食べてたのかな。

そう思うと涙が出る。

悲しいのではなく、お母さんとの思い出が頭によぎって懐かしく感じさせる。

つまり、おかしいかもしれないけど、
私はケーキを食べて感動して泣いてるんだ。

『優貴ちゃん、大丈夫?』

コクリと頷きまた食べる。

幸い、座っている席が丁度1番奥の柱が立ってる後ろの席だから誰にも見られない。

食べれば食べるほど涙が出てくる。

涙がでるけど、食べるのをやめられない。

だって、これが精一杯の感謝の印なんだから。

このお店にはジンクスがあってね、

大切にしたい人とかが食べてるケーキを自分が残さずに食べると、

その相手に感謝の気持ちが伝わるっていうステキなジンクス。

感謝するには言葉だけじゃないって言う意味も入ってるんだと思う。

だから、私は感謝の気持ちを込めてお母さんとお父さんのケーキを食べる。