流れ星のカケラ【完】


『優貴ちゃん、着いたから降りてくれる?』

坂木さんは、私が車の中で泣いてるのに何の言葉もかけなかった。

でもね、それでよかったんだ。

変な風に優しくされるともっと悲しくなる。

(きっと同情してるだけ)

そう思ってしまうから。

これから幾度となく

''かわいそうに''

この言葉を聞く機会が増えるんだ。

もう嫌になってしまう。

同情なんかしてほしくない。

お母さん達が星になったのは悲しいことだけれど、

何にも思ってないくせに勝手な想像で同情なんて嫌なの。

''死んでよかったね。''

この言葉を聞くよりは同情された方がいいかもしれない。

でも、そんなことを言う人は絶対にいない。

だから同情なんてしたくないって普通に思う。

でも、聖…

あなただけは違った。

『酷いこと言うけど、もし優貴の両親が星になってなかったら俺たちはこんな風に出会わなかったんだから…。』

そう言ったの、聖は覚えてる?

私、なんでか聖が言ってくれた言葉に優しさを感じたの。

お母さん達が星になったことに対して悲しく思わないで前向きな気持ちになれたんだ。


私は車を降りて坂木さんの後を追って警察署に入る。

坂木さんに案内されたのはよくドラマとかで見られる窓が1つの部屋。

たしかこの窓って外からは見えてるんだよね。