空唄 ~君に贈る愛のうた~

下におりると、ダイニングテーブルに
おいしそうに湯気をだしているパスタが三つ並んでいた。


「花音、お帰り」


父、斗真が遠慮がちに声をかけてきた。

花音は出来るだけ微笑んで、今の自分の気持ちを悟られないように


「ただいま、お父さん」


明るくそう言いながら、自分のいつもの席に座ると
由紀恵がテーブルの真ん中にサラダをコトッと置いた。


「さぁ、食べましょう。今日はトマトのパスタよ」


由紀恵は笑顔でそう言い、自分も席に着いた。


「いただきます」


小さく呟いて、フォークを手に取り
くるくるっとパスタを巻きつけて口へと運ぶ。

口にいれた途端トマトの甘酸っぱい味が広がっていく。

そのまま二口目に行こうとした時
ふと視線が気になりそちらを見ると、不安げな顔で花音を伺っている由紀恵がいた。


―……あぁ、