空唄 ~君に贈る愛のうた~

「えっと、じゃあばいばい」

「ばいばい」


別れを告げて土手へ上がる階段へと、歩みを進める。


―あれ……なんか、すごい寂しい……


遥と離れるのが、なんかすごく寂しい……?

もう一度、遥の姿を見ようと後ろに振り返ろうとした時


「花音っ!」


先に名前を呼んだのは遥の方だった。


「な、なにーっ?!」


大声で聞き返すと、こちらからでもわかるような笑顔で


「また明日!俺、ここにいるからさっ!」


まだ行くとは言ってないのに、遥はまるでこちらが行くように言った。

少しびっくりしたけど、花音も


「うんっ!また明日ね!」


笑顔でそうこたえると、階段を駆けあがる。


―また明日……か。


その言葉がなんだか嬉しくて、顔が自然とにやけた。





また明日がある――


また明日、遥と逢えるんだ――






嫌いな太陽もその時は不思議と、とてもいとおしく感じた。