空唄 ~君に贈る愛のうた~

「てかさっ、さっき花音歌ってなかった?」


コンクリートに二人で腰掛けてから10分くらい経った頃、沈黙を先に破ったのは遥だった。


「えっ?!……違うよ」


別に隠すこともないのだか、咄嗟に嘘をつく。

だって、


―なんか恥ずかしいし……


そう心の中で考えて、人一人分あいた遥との距離をまた気持ちばかりあける。


「嘘だぁ!花音の声にそっくりだったし、それに」

「それに?」


一旦言葉をきった遥の方へと視線を向けると、遥は真っ直ぐ花音の瞳を見つめ


「すごいきれいな歌声だった。曲も、俺ああゆう感じ好きだな」


ドキッ――


だからっ、なんでドキッって……
遥の言葉がうれしかった、ただそれだけ。


「……ありがと」

「あっ、やっぱり花音なんだ」

「えっ?……あっ!」