空唄 ~君に贈る愛のうた~

むにっ


―んっ?むにっ?


右頬に違和感を感じて瞑っていた目をゆっくり開ける。

すると、目の前でけたけた笑う遥がいた。


「へっ……?」

「ははっ、呪われるとでも思った?」


遥の右手は花音のほっぺたをつまんでいただけだった。

笑う遥と反比例に、花音には漠然と疑問が生まれる。


「どうして……?」

「うん。どうしてだろーね?」



「どうしてっ、
触れられるの……?」


幽霊と人間は触れ合えないはず。

なのに、どうして?

遥の手は人間と変わらず温もりを持っていて、とても幽霊とは思えないほどリアルに伝わってきた。

恐る恐る自分の左手を持ち上げ、遥の腕に触れてみる。

すると、やっぱり普通の人間と同じ
華奢だけど、男の子らしくしっかりした腕の感触があった。