空唄 ~君に贈る愛のうた~

「えっと……はじめて会う?」

「んー……そうなるのかもね(笑)」


何故か曖昧に答える遥をじっと見つめる。


―……やっぱり、知らない人だよなぁ?


そう考えた時、ふいに強い風が吹いた。

その風は、花音の髪をいたずらに乱していく。

右手で邪魔な髪を抑え、遥の方を見ると何か違和感を覚えた。

そしてその違和感が何か、すぐに思い当たった。


「なんでっ



髪、揺れてない……?」


あれだけの風が吹いたのに、遥の髪は一つも揺れていなかったのだ。

それだけじゃない。

この場所まで来るには、どうしても石の上を歩いてこなければならない。

そうすれば、必ず足音がするはず。

けれど、遥が声をかけるまで花音は存在に気づけなかった。

つまり、足音がしなかったのだ。

と、言うことは……