空唄 ~君に贈る愛のうた~

「そんな警戒しないでよ。何もしないからさっ?
そーだ!君は名前なんて言うの?」


目をきらきらさせて、遥が訊いてきたので
花音はまだ若干警戒しながら


「花音……」


と、素直にこたえた。


「花音かぁ。いい名前だね」


屈託のない笑顔で言う遥に、花音の胸がドキッと高鳴った。


―えっ、何今の?


突然のことで、頭が混乱した。

ドキッ、って……何この感情?


「なぁ、大丈夫?具合悪いとか?」

「いやっ、違う!ただ、考えごとってゆーか……」


またそこで、はっとなる。

なんで、はじめての人にこんな普通に喋れてるんだ?

普段の花音は、かなり人見知りをする。

慣れるまでタメ語でなんて、話せない。

どうしても距離を置いてしまいがちだ。

なのに……?