空唄 ~君に贈る愛のうた~

いつからだっけ?

自分で歌を作りはじめたのは。

まぁ、きっと。

“あの事件”の後からだと思うけど。


「やーっぱり、ここで歌うのが一番だなぁ」


はぁ~、と深く息を吐きながら冷たいコンクリートに体を預けると
火照った体の熱を吸収していく。

手に持っていたノートとペンを、落ちないように隣に置いた。


「気持ちいい~……」


すっと目を閉じると、そのまま眠りについてしまいそうになる。

川のせせらぎがまた、それを煽るように夢へと誘いの手を差しのべた。


―あぁーこのまま、寝ちゃいたいなぁ……
でも、こんなとこで寝ちゃだめだし……


頭のどこかでは否定するのに、体は言うことを聞かず瞼が開かない。

そうして、眠りにつこうとした時