空唄 ~君に贈る愛のうた~

おじさんの優しい声が花音の名前を呼んだ。

小さい頃から、おじさんの声を聞くと何故かほっとしてたっけ。


「うん?」


おじさんの方を向くと、声と同様優しい笑顔で


「明日から夏休みかい?」

「そう、夏休み」

「よかったらこの店のアルバイトしてみない?」

「えっ?アルバイト?」

「夏はこのしがない喫茶店も人手不足になるんだ。
だから花音ちゃんも高校生になったし、アルバイト出来るだろ?」

「まぁ、出来るけど……」


確かに高校生だし、この夏はアルバイトでもはじめたいなって思ってた。

でも、喫茶店ってことは……


「接客するよね?」

「ああ。花音ちゃんなら立派な看板娘になれるよ。
どうだい?無理にとは言えないが」


おじさんは肩を軽くあげて、上目遣いで見てきた。

その見方は反則だって……


―接客業かぁ~