空唄 ~君に贈る愛のうた~

ちりんちりん……


涼しげな音をたてて、ドアが開いた。

二人でそちらに目線を向けると


「やあ、花音ちゃん。いらっしゃい」

「あっ、おじさん。おじゃましてます」

「親父お帰り」

「だだいま。一誠何か変わったことあったか?」

「いや、特にないよ」

「そうか。これ、新しい豆買ってきてみた」


おじさんはそう言いながら、一誠へと紙袋を差し出す。

一誠はそれを受け取り、コーヒー豆を取り出して


「まじ?いれてみてもいい?」


わくわくした表情でおじさんに訊いた。


「あぁ、頼むよ。花音ちゃんも飲んでいくかい?」

「えっ、コーヒー……私飲んだことない」

「じゃ、飲んでみようぜ。いれてくる」


そう言うと、一誠はくるっと向きをかえてコーヒーをいれはじめた。

そんな光景をなんとなく眺めていると


「花音ちゃん」