遥の手を握っていたはずの自分の手を、意味もなく空へと伸ばす。

目を細めて眩しい太陽を手を広げ遮り、掴めるはずなんかないのにぎゅっと強く握りしめた。


涙が、止まらない。

お兄ちゃんが死んだ時以来泣いたことなんかなかった。

むしろ、あの時は実感わかなくて泣くことも出来ずにいた。

正直今も夢みたい。

君と過ごしてたことも、愛しあえたことも……儚い夢のようで。



でも違う。

だって、目を閉じたら君との思い出が溢れてくる。

頭なんかじゃなくて、心が君を覚えてるから……


だから『さよなら』なんて言わないよ。





「よーう、



またねっ!」




空に、おっきく手を振って君に負けないくらいの笑顔で叫んだ。


君がどこにいても届くように――