空唄 ~君に贈る愛のうた~

私は自分のことなのに、よく客観的に考えてしまう。

それはきっと幼い時に、自分が学んだ結果だと思う。

あの夏の……


「花音!」

「えっ」


カウンター越しに一誠が手を伸ばして、花音の肩を揺らしていた。

一誠は少し泣きそうなくらいの顔で。

肩を掴んでいる手は痛いくらいに力がはいっていた。

たぶん今、発作起こりかけてたんだろう。

と、いうことがすぐにわかった。


「あ~、ごめん。いっちゃん」

「いや、いいよ。……今日発作起きたのか?」

「……うん」

「そっか。だから元気なかったのか……」


一誠はそう呟くと、こちらに背を向けてキッチンの方へ行ってしまった。

帰ってきた時は、右手に花音の好きなチョコレートケーキを持ってきて


「ほら、俺のおごり。自信はあるぜ?(笑)」


にか、っと笑って花音の目の前に置いた。