空唄 ~君に贈る愛のうた~

こんなに興奮してる一誠は見たことない。

正直びっくりした。

私にはあまりそんな表情見せないようにしてる、ってのもあるからだと思う。


「俺は大人だから、感情は表にださねぇの」


って、前言ってた。

そんないっちゃんが……


「わっ、たし……なみ、だがとっ……まらない」


気づくと香織の両目から大粒の涙が途切れることなくこぼれ落ちていた。


「かっ、香織ちゃんっ?!」

「ごめっ、ん。た……だかんどう、して」

「香織ちゃん……」


自分の歌が、人の心に届く。

それはこんなにうれしくて、しあわせな気持ちになる。

って、はじめて知った。

今まで私は自信がなくて逃げてたから――

でも何か今、私がんばれる気がする。

一歩踏み出せる気がする。

なんて考えてると自然に笑顔になった。


「どっちの言葉も、私には勿体ないくらいだよ。ありがとう……」


そう言った私の顔は、はずかしさでちょーっと顔が赤くて
うれしさで涙目だったんじゃないかな、って後から思った。