―ピピピピピ……


小気味好い目覚まし時計の音が、部屋の中に染み渡る。

朝の静けさには、嫌と言う程響いて聞こえた。

それを片手を伸ばし止めて、自分の元へと持ってくる。

まだ5:30。

正直眠いけど、今日は早起きしなきゃいけない日なので
乗りきらない体を起こして準備をはじめる。

今日はお兄ちゃんの命日。













家からそんなに遠くない小高い丘の上に、お兄ちゃんのお墓はある。

他のものと同様に、そこに静かに佇んでいた。


「お兄ちゃん、久しぶり」


家族で手を合わせた後に、ひとり呟く。

小さく風が吹いて、なんとなくだけど応えてくれてる気がした。


「8年経ったんだよ。花音も大きくなったでしょ?今年で16歳だよ。早いよね」


笑顔でそうはなす自分が、なんだか変に思えてしまった。

ちょっと前まではこんな自分想像もできなかった。

あんなにひねくれてたのにね。

今じゃあ、笑顔ではなしかけれるようになれた。

それもこれも



遥。

君のおかげだよ。