今思えば…麻衣ちゃんも里奈ちゃんも
恋しているなぁ。
「恋バナしててもいつもうちは聞いてるだけだなぁ」
あたしは恋なんてしたことないから
どんな気持ちになるとか、
どういうところが好きとかよくわからない。
「いいなぁ~」
夏休み前だからみんな無理にも恋して告白して、
つきあったりしている。
「うちも好きな人ほしーー!!」
大声で叫んだ時だった。
ガラッ
教室のドアが一気に開いたのは。
「…え…」
ドアのところには見たことのない男の子だ。
結構焼けていてなんだかサッカー少年みたいな子だ。
「…聞いた今の??」
初対面だけどあたしはそんなこと気にしない。
「うん…」
「あはは…;」
やっぱり聞かれてたか。
「恋してないんだ?」
ウヴヴ!!
「うん…あはは」
なんだこいつ!!
初対面なのに生意気!!
「ふ~ん」
男の子は少し私の顔を見た後
一番奥の席に着いた。
「可哀相」
男の子は小さくつぶやいた。
私は耳がいいからどんなに小さな声でも聞こえる。

