買い物が終わり外に出るとえいちゃんが
待っていた。

「早かったねえいちゃん」

「ああ」

 あたしは少し顔が熱くなるのが分かっ
た。

 沈黙が続く。それを最初に破ったのはえ
いちゃんだった。

「あのさぁ、さっきの事だけど忘れて」

「いや、無理」

 嬉しすぎて手忘れられないよ、あんな事。

「はぁー、だよな」

「えいちゃん、本当にあたしが居なくて寂
しいの?」

「何度も言わせるなよ」

 えいちゃんが素直だ。

「ありがとう」

「え?なんで」

 理由なんてない。

「なんとなく!」

「べ、別にみやびの事が好きとかじゃーな
いからな!」

「あたしは好きだよえいちゃんの事!」

「本当に!?」

「うん!幼馴染として」

 えいちゃんはあたしにとってすごく大切
な幼馴染。

「あたしもう行くね!」

「ああ、じゃーな」

「メールと電話ちょうだいね!バイバイ」
 あたしは走ってその場を離れた。


《栄介サイド》
 みやびが走って行くのを俺はずっと見て
いた。

 みやびが見えなくなるのを確認してから
俺はその場を離れた。

 歩きながら俺は独り言を始めた。

「幼馴染としてかぁ」

 俺、バカだなぁー。みやびが俺のことを
男として好きなわけがないって知ってんの
に期待して。

 次の日俺は、俺と同じ学校に通ってるみ
やびの親友である立花椿に昨日の事を相談
する事にした。

「立花ー」

「何?」

 俺は昨日の事をすべて話した。

「あんたさぁー優秀なのに恋愛はだめって
どういうこと?」

「恋愛と勉強は別だろ」

 俺って本当に不器用だな。

「まぁーそうだけど、つうか高坂はもっと
素直になりなさいよ!」

「俺が素直に!?絶対無理」

「そう言うわりに昨日は素直だったんじゃ
ない?」

 たしかに昨日は結構素直だったかもしれ
ない。だけど、それはなんつうか流れって
言うか。

「そうだったけど、無理」