「キスがしたかったから」

「さっき、止めようかって言ったじゃん」

「君がなんて言うか興味があったから」

彼女はまたくすりと笑った。

「…お前なぁ」

思わずため息が出る。

彼女には適わない。

「ねぇ」

「ん？」

「キス、したい？」

妖艶な笑みを浮かべた彼女はとても美しくて俺には勿体なく感じる。

それでも、俺は彼女から離れられない。

否、放さない。

「菌を共有しましょうか？」

俺がそう言えば彼女は可愛らしく笑って俺の首に腕を回した。

「菌を共有しましょう？」

君の菌なら行き来しても構わない。

君と交じり合っているような感覚がするから。

君を愛しているから。