扉を開けていつもの非常階段に出た。




非常階段は、あたしと冬樹の場所。





あ、冬樹は、上の方かな?




あたしは、階段を上がった。







「くまきちだよ。本気なわけないだろ?」







声が聞こえてきた。

嫌でもわかる、冬樹の声‥。




「別に好きぢゃねぇんだから、本気もなにもねぇよ。中津もわかってくれよ。」





「うん〜。」







え‥?
美和ちゃん‥?



ちょっと待ってよ。

本気ぢゃないってなに?




好きぢゃないってなに?





やっぱり、永石くんがいってること、当たってたんだ。




美和ちゃんは、冬樹のことが好きで、冬樹も、美和ちゃんのこと‥。







やだよ‥。



やだ…。





冬樹‥。







好きって言ってよ‥。






ふゆきぃ‥。







最後に冬樹の方を見ると、潤んだ瞳に映った光景は‥。







冬樹が、美和ちゃんの頭を撫でているところだった。







頭が、真っ白になった。






階段を戻ろうとしたとき、躓いた。



ガタンッ!
その音で冬樹と美和ちゃんにバレてしまった。




「くまきちっ!!」







冬樹の声が聞こえたけど、泣き顔で振り向けなかった。