きっと今までのあたしなら突き飛ばして、暴言吐いて逃げてたと思う。


でも今日は、誰かに優しくされたかった。

誰かに心の隙間を埋めて欲しかった。


「はぁ…ん…っ」


気付いたら、あたしから舌を絡めてた。

そうすると慶太も応えてくれて、夢中でキスをした。


やっと唇が離れると、ギュッと抱きしめられた。

ゴツゴツした意外と大きな体。


「……俺が忘れさせてやるから」


耳元で聞こえる低く澄んだ声。

甘い甘い囁き。


「笑美が好き。俺と付き合おう？」


何の飾り気もない、慶太らしいストレートな言葉。

そういえば”好き”って初めて言ってくれたね。


「……うん」


慶太なら、きっと好きになれる。

幸せになりたい。


龍くんじゃなくて、慶太と…。