『笑美、悪い!!連絡遅くなった』


「え?」


『今日親戚に不幸があってさ、花火大会一緒に行けねーわ。ごめんな』


え…!?


「不幸って…大丈夫なの?」


『遠い親戚だから大丈夫。じゃあまた連絡する』


ピッとボタンを押した瞬間、切なくなった。


こればかりは仕方ないって頭で分かってはいても、浴衣姿の自分が惨めになる。

遠くで聞こえるお祭りの音が妙に寂しい。


加奈子は家族で海外旅行中だし…帰ろうかな。


そう考えたとき、一人の顔が浮かんだ。


がんばろうと決めたくせに、もう一週間も何もしないまま過ぎてる。


あたしからの連絡、待っててくれるって言ったよね…?


電話に出てくれるかな?