---何球投げたかわからない。少なくとも二百球は超えているだろう。

空は朝を迎えようとしていた。


肩は多分、いや確実に甲子園予選に間に合わない。颯太さんに怒られるな、きっと…。



神風はボロボロになりながら、体で止めにいった。硬球を体に当てながら、必死に捕ろうとしていた。


…多分次がラストだ。



神風もそれを感じたのか、とびっきりの笑顔でオレにミットを出した。


その笑顔だよ、神風。

お前の最大の持ち味はそれだ。


男とか女とか関係ない。



神風にしか出来ないことをしたらいいんじゃねえの?




オレが投げた最高の球をミットはきっちりと掴んだ。