----四回が終わり6対0。

完璧に打ちこまれた。

球が自分の思ってるところに全くいかない。ミットに向けて投げているのに気持ちが高ぶらない。何回投げても疲れないオレが、肩で息をしている…。


五回の表、再興高校の先頭バッターにまたも打たれた…。それを見て、監督が主審に交代を告げた。

…まさか途中で誰かにマウンドを譲るなんて、人生初だ……。


「今日は絶不調だね~永谷くん。さあて誰と代わるんだろうね~」

マウンドに来た捕手の竹内先輩。オレが交代するのを思いっきり喜んでやがる。


「……え?」

突然、ベンチを見た竹内先輩の顔から笑みが消えた。

オレも釣られてベンチを見る。すると、そこから出てきたのはキャッチャーミットを持った神風だった。