「颯太さん、結城先生と同じ大学でプロ注目の投手なんだってよ~。本人は行くつもりないって兄貴が言ってたけど」

「…なんで?普通プロ目指すだろ?」


普通に考えておかしい。プロに行けるチャンスなのに…なんで行かないんだ?



「知らね~よ。とりあえず、全力投球しろよな~?」

そう言うと西条はその場に座り込み、バシバシとミットを叩き合図した。


全力投球っつても…お前なんか取れるわけないだろ。



隣から心地良い音が聞こえてくる中、オレはフォームの確認をしながら投げ続けた。