「悠弥、入るぞ?」
ドアを開けると、悠弥はベッドの上に丸まっていた。
「指、病院に行ったのか?」
オレの問いかけに首を横に振った。
「病院行こう。悪化するぞ」
「いいんだよ別に…。もう野球をすることなんてないんだ」
「テレビ見てないのか?お前はまだ、オレの球を捕る仕事が残ってんだよ?」
「言ってる意味がわからない」
「…再興高校が辞退したんだ。これならわかるか?」
「甲子園、行けるのか?」
「ああ」
さっきまで死んでいた目に光が灯った。
「本当に本当か?」
「ああ。だから、病院。行くぞ?」
「…わかった……。すぐ行くよ」
オレ達の夢が、もう一度叶う時が来た。