---試合開始を知らせるサイレンがグランドに鳴り響いた。
「今までの練習を思い出せ。最高の一日しようぜ?…行ってこい」
グランドに整列する。
俺の斜め前にはエースナンバーを付けたあの"スゴい投手"と呼ばれていた上総が、そしてその横には影山が立っている。
「お願いします!!!」
互いに礼をして各チーム、ベンチに戻って行った。
「東、一点もやれないよ」
「誰に言ってんだ?オレはまだ点数取られてないんだぞ?」
「そうだったね。…行こう」
痛み止めは飲んだ。
手もキッチリ固定した。
仙崎さんから聞いた、東の信頼を裏切るわけにはいかないんだ。
…絶対、最後まで受け続ける。
そして、絶対勝つ。
俺はミットをバシッと叩き、グランドに向かった。


