「デッドボール!!」

八回裏、五対一で四点リードのオレ達の攻撃は一番の悠弥からだった。


西周ピッチャーが投げた球は、悠弥の指付近に当たったように見えた。


スプレーを持った一年が、悠弥のところから帰ってきた。

「悠弥どうだった?」

「グリップと手の間に当たったから、たいしたことないって」


「そうか…」

一瞬、痛そうな顔してたと思ったんだけど…。


攻撃を終了する際、悠弥が監督に呼ばれた。


「お前、大丈夫なのか?」

「大丈夫ですよ。所詮、あと一回です」


結局、最後まで大和が投げきり、そのまま逃げ切った。


…悠弥のその手のことだけを残して。